【米国】社会的距離から物理的距離に呼称変更を つながりが重要

新型コロナウイルス対策として世界中の公衆衛生当局が「社会的距離(social distancing)」を呼びかける中、一部の専門家が「物理的距離(physical distance)」に言い換える取り組みを始めた。米国の高齢者団体AARPが4月10日、この動きを伝えた。WHO(世界保健機関)新興感染症担当のMaria Van Kerkhove博士は直近の記者会見で「物理的距離」のフレーズを使用。「感染を防ぐには少なくとも6フィート(約1.8メートル)の距離を保つことが必要不可欠だが、これは社会や愛する人から切り離されることを意味するものではない」と説明した。

AARPによると、社会学者のジェニー・ブランド(Jennie Brand)氏もWHOに賛同する一人。ブランド氏は「社会的距離というフレーズは通常、ある種の個人主義や社会的断絶・排除を示す場合がある」とし、不安が高まる状況下では「むしろ社会的なつながりを維持することが最重要になる」と指摘した。

物理的に離れていても、現代社会ではコミュニケーションは簡単。CDC(米疾病対策センター)はメールや電話、ビデオチャットを活用し「愛する人からの孤立感をなくすことができる」と強調。AARPが4月9日に開いた電話講演で、アメリカ精神医学会元会長のアルタ・スチュワート博士は「物理的に距離を置かなければいけないからといって一人でいる必要はない。人は人とつながり、社会とつながる必要がある」と説明し、連絡を取り合い、つながることがストレスを軽減し、健康状態を改善し、疾病対策にも役立つと指摘した。

この議論は始まったばかりだが、AARPは「この対策が何と呼ばれようとも、とにかく安全な距離を保って身を守ってほしい」と高齢者に呼びかけている。同団体は毎週、高齢者の質問に専門家が回答する「新型コロナウイルス情報テレタウンホール」を開催。その内容をフリーダイヤル電話で発信する取り組みを行っている。

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. PFASワーキンググループ
    食品安全委員会のPFASワーキンググループは4月26日、第8回会合を開き、「PFAS(有機フッ素化合c
  2. 米国の保険関連非営利組織「国家保険犯罪局」(NICB)は5月9日、盗難車に関する2023年報告書をまc
  3. 伝統的易学業界
    国民生活センターも参加、トラブル事例を解説 伝統的な易学の研究・普及に取り組んでいる占い関連団体がc
  4. 消費者庁デジタル班
    詐欺的定期商法など排除へ 事業者への注意喚起通知1600件 インターネット通信販売に関するトラブルc
  5. U.S. PIRG
    プラスチック製品に欠かせない原材料「プラスチックペレット」の環境への放出を禁止する法案が米下院で支持c

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る