【米国】離乳食の重金属問題 規制法案提出へ 成立は不透明

米国で販売されている離乳食の一部から高レベルの有害重金属が検出された問題で、民主党議員が3月26日、議会に規制法案(離乳食安全法)を提出することがわかった。米消費者団体のコンシューマー・リポートは「我々や他の団体が求めてきた規制とほぼ同様の内容だ」と評価する一方で、「法案が議会を通過するかは不透明」だとしている。

法案はすべての乳幼児向け食品を対象とし、FDA(米医薬食品局)に対し、重金属(無機ヒ素、鉛、カドミウム、水銀)の最大許容基準値の設定を求める内容。現在、乳幼児用食品の重金属について制限値が設けられているのは、乳児用ライスシリアルの無機ヒ素(100ppbまで)のみとなっている。

コンシューマー・リポートによると、法案には具体的な制限値が明記されており、法施行日から1年以内に無機ヒ素をベビーフードで10ppb、ベビーシリアルで15ppb、鉛とカドミウムをベビーフードで5ppb、ベビーシリアルで10ppb、水銀をいずれも2ppbの水準まで下げるよう規定。2年以内にさらに引き下げ、3年後には検出できないレベルにすることなどを求めている。

法案は民主党議員が提出し、現在、賛成しているのもすべて民主党議員。内容も非常に野心的であるため、コンシューマー・リポートは「法案の通過は不透明」としている。一方で「たとえ成立しなくても、消費者の意識が高まり、メーカーは対応を迫られることになるのではないか」とコメントし、消費者の行動と業界の自主的な取り組みに期待した。

離乳食の重金属汚染を巡っては、米下院小委員会で今年2月、大手メーカー製品の一部から高レベルの重金属が検出されたとの報告がなされ問題化。規制当局としてFDAにも厳しい目が向けられ、3月初めに削減に向けた行動計画が発表されるなど、慌ただしい動きとなっていた。

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