【英国】現金引き出せない 250を超す地区が「ATM砂漠」

キャッシュレス化や銀行の支店閉鎖が加速する英国で、250を超す地区でATM(現金自動預け払い機)がまったくない、もしくは1台しかない事態に陥っていることが、消費者団体Which?の最新調査でわかった。同団体は「ATM砂漠となった地区では現金を入手する機会が失われ、コミュニティが大きな打撃を受けている」と指摘し、政府にATMネットワークの保護に乗り出すよう訴えた。

ATMネットワークデータをもとに、郵便番号で区分したそれぞれの地区のATM設置状況を調べた。その結果、130地区でATMがまったくなく、計11万5000人が影響を受けていた。代表的な地区は、人口が多い順にピーターバラ(1万5294人)、ダーリントン(5308人)、ニューカッスル(4532人)など。また、129地区はATMが1台しかなく、そのうち84台は利用料を徴収していた。

こうした地区への対策として、通常は英国全土に1万1500の支店を持つ郵便局が代替の役割を担うことになるが、調査ではATMがまったくない130地区のうち36地区しか郵便局がなかったという。

Which?によると、2018年1月~今年9月までに無料のATMは5万4500台から4万7500台へと減少し、ネットワークが13%縮小していた。月平均578台が撤去されたり、有料に切り替えられたりしている計算だという。同団体は「キャッシュレス化の進展により現金を拒むケースも発生している」などとして、政府に対し▽現金の入手を保証する▽現金払いを含む多様な支払い手段を自由に選べるようにする――ための法制度の整備をおこなうべきだと訴えている。

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. ミツカン味ぽん
    ミツカンが1970年代から提案を続けている「焼肉×味ぽん」が最強の組み合わせであることが、味覚センサc
  2. トウモロコシ
    米国の消費者団体コンシューマー・リポートが「驚くべき健康効果を持つ7つの食品」の一つとして、ポップコc
  3. 消費者庁
    消費者庁は1月1日に発生した能登半島地震に関連した消費生活相談について、地震発生後1カ月間(1月1日c
  4. 日本生活協同組合連合会
    日本生活協同組合連合会が注力するエシカル消費対応商品の販売が好調だ。2023年度の総供給高(売上高)c
  5. 英国の消費者団体Which?
    獣医療業界の価格設定や治療に関する情報が不透明で、消費者が最善の決定を下せる状況にないとして、英競争c

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る