【米国】「肥満治療を受ける権利」要求 問題放置に終止符を

承認薬や手術など肥満治療が進歩しているにもかかわらず、多くの肥満者が依然として適切な治療を受けられていないとして、米国の消費者団体ナショナル・コンシューマーズ・リーグ(NCL)は10月13日、全米高齢者評議会(NCOA)とともに、肥満の権利章典の創設を各界に呼びかけた。NCLのサリー・グリーンバーグCEOは「あまりにも長い間、成人の肥満者は医療制度から無視されてきた。汚名を着せられ、差別され、医療関係者からは敬意をもって扱われず、受けるべきケアが提供されてこなかった」とし、医療制度の抜本的な見直しを求めた。

統計によると、米国では1億人を超す成人(国民の42%)が肥満を抱えるが、アフリカ系アメリカ人では49.6%、ヒスパニック系で44.8%と特定のコミュニティでさらに高くなっていた。また、肥満者のうちケアを受けている人はわずか10%だった。

NCLとNCOAが開いた会合では、肥満者から「医師が話を聴いてくれない」、「肥満について話し始めると軽蔑的な扱いを受けた」などの経験談が語られ、医療機関から歓迎されていないと感じたり、自らの責任を感じ、肥満治療を求めることが道徳的に良くないと考えたりしていることがわかった。一方、医師からは「カウンセリング時間に限りがある」、「肥満管理に関する十分な研修を受けていない」、「肥満のリスクを患者に分かりやすく説明するツールがない」、「治療に対する保険制度が整っていない」などの意見が出された。

NCOAのラムジー・アルウィンCEOは「肥満は誰にも話したくない慢性疾患であり、この障壁を打ち破るためには科学的で、わかりやすく、アクセスしやすい患者中心の医療システムが必要だ」と訴えた。両団体は質の高い肥満ケアをすべての国民が受けられる「肥満の権利章典」の創設を呼びかけ、医療、保険、経営者、有識者に運動への参加を求めた。

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