【米国】SUVがもたらす二つの負債 自動車業界に転換呼びかけ

米国の非営利団体U.S.PIRGは、自動車業界に対し、市場を牽引してきたSUVから脱却し、EV(電気自動車)を中心としたビジネスモデルに転換するよう呼びかけた。大型の高級車SUVを販売する戦略は、温室効果ガス排出による地球温暖化に加え、消費者に巨額の自動車ローンを抱え込ませるという二つの負債をもたらしたと指摘している。PIRGは「SUVによるパーティーは終わった。気候変動と家計債務の二つの負債を解消するには痛みを伴うが、持続可能な交通の未来を切り開くチャンスでもある」としている。

PIRGによると、2010年代の低金利とローン返済期間の延長によって、自動車業界はより大型でより価格の高いSUVを販売する戦略をとり、高い収益を得てきたという。さらに、パンデミック下では、生産をより利益率の高い車に集中させ、これがローン組成をさらに急増させた。現在、米国人の自動車ローン債務は1兆5800億ドルを超え、延滞率が過去最高水準になっているという。

一方、ガソリン車からの移行が進むEV市場では、先行するテスラが幅広い層を取り込もうと価格を引き下げる戦略をとっているのに対し、従来のメーカーは高級車を中心とした販売戦略をとっている。PIRGは「どの戦略が勝つかを判断するには時期尚早だが、高金利で家計が圧迫される時代においては手頃な価格の車のニーズが高まる」と指摘。「自動車市場を持続可能なものにしたいのであれば、可能な限り環境に優しく、小型でより低価格の自動車に移行することが唯一の手段となるだろう」と強調している。

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. フランス消費者同盟
    動画投稿アプリ「TikTok」の複数のインフルエンサーが日焼け止めの危険性をあおり、使わないよう推奨c
  2. NCL
    米大リーグ、ワシントン・ナショナルズが観戦チケットを販売する際、手数料を開示していなかったなどとしてc
  3. 食品安全委員会
    食品安全委員会は7月23日、アレルゲンを含む食品のファクトシート(科学的知見に基づく概要書)を公表しc
  4. 東京都庁
    東京都は7月18日、2023年度インターネット広告監視事業の結果を公表した。1万6000件の広告につc
  5. コンシューマーリポート
    米消費者団体コンシューマー・リポートは7月12日、果物や野菜を洗う最も良い方法を示し、重曹や酢を用いc

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る