【米国】SUVがもたらす二つの負債 自動車業界に転換呼びかけ

米国の非営利団体U.S.PIRGは、自動車業界に対し、市場を牽引してきたSUVから脱却し、EV(電気自動車)を中心としたビジネスモデルに転換するよう呼びかけた。大型の高級車SUVを販売する戦略は、温室効果ガス排出による地球温暖化に加え、消費者に巨額の自動車ローンを抱え込ませるという二つの負債をもたらしたと指摘している。PIRGは「SUVによるパーティーは終わった。気候変動と家計債務の二つの負債を解消するには痛みを伴うが、持続可能な交通の未来を切り開くチャンスでもある」としている。

PIRGによると、2010年代の低金利とローン返済期間の延長によって、自動車業界はより大型でより価格の高いSUVを販売する戦略をとり、高い収益を得てきたという。さらに、パンデミック下では、生産をより利益率の高い車に集中させ、これがローン組成をさらに急増させた。現在、米国人の自動車ローン債務は1兆5800億ドルを超え、延滞率が過去最高水準になっているという。

一方、ガソリン車からの移行が進むEV市場では、先行するテスラが幅広い層を取り込もうと価格を引き下げる戦略をとっているのに対し、従来のメーカーは高級車を中心とした販売戦略をとっている。PIRGは「どの戦略が勝つかを判断するには時期尚早だが、高金利で家計が圧迫される時代においては手頃な価格の車のニーズが高まる」と指摘。「自動車市場を持続可能なものにしたいのであれば、可能な限り環境に優しく、小型でより低価格の自動車に移行することが唯一の手段となるだろう」と強調している。

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